「60代が意識して摂りたい栄養」一覧

公開日:2025.01.27

この記事は、「60代になったらどんな栄養を意識して摂ったらよいのか?」と迷っている方に向けて、公的な統計データを基に「不足しがちな栄養素」を割り出し、

  • 「意識して摂りたい栄養素」の例 一覧
  • 効率よく、栄養を摂る方法

について分かりやすくまとめています。

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1. 60代が「意識して摂りたい栄養素」の例 一覧

この項目では一般的に60代が「意識して摂りたい栄養素」の例を、一覧にしてまとめました。

年齢が上がるにつれて何らかの疾患がある、咀嚼能力や消化・吸収能力の低下がみられるなどがあるため、個人の状態に応じて必要な栄養素は異なります。
あくまでも年齢での指標は参考にとどめ、「自分にはどんな栄養素が必要なのか」を個人の状態を踏まえて考えてみることが大切であることに留意し、ご覧ください。

慢性疾患などで医師の指示のもと、食事制限や食事療法を行っている方や服薬中の方は、かかりつけ医や管理栄養士の指示に従ってください。

【男性版】60代が意識して摂りたい1日の栄養素の例&エネルギー量

60代男性が「しっかり必要な栄養素を摂れているか?」を、下記のグラフや表にまとめました。

【図:「主要な栄養素」の「1日に摂りたい量」に対する60代男性の「達成率※」】

達成率は、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より60代男性の平均摂取量を基に算出

図:「主要な栄養素」の「1日に摂りたい量」に対する60代男性の「達成率」

上記グラフを見ると、ビタミンA、Dやカルシウムが不足していると分かります。

【60代男性が1日に摂りたい栄養素の例 一覧】

「1日に摂りたい量」とは、日本人の食事摂取基準(2020年版)で「推奨量」「目標量」「目安量」として提示されている数値です。

たんぱく質
1日に
摂りたい量
60~64歳 65g
65~69歳 60g
平均摂取量 80.6g
1日に摂りたい量を
食べ物で例えると?

鶏むね肉(1枚:190g)
約1.5枚分

鶏むね肉
不足した場合の
リスクの例
  • 体力の低下
  • 筋肉量および筋力が低下する可能性がある
  • 免疫機能の低下
脂質
1日に
摂りたい量
60~64歳 約57.7g
目標量の下限値20%で算出
65~69歳 約53.3g
目標量の下限値20%で算出
平均摂取量 66.2g
1日に摂りたい量を
食べ物で例えると?

豚ロース(1枚:150g)
約2枚分

豚ロース
不足した場合の
リスクの例
  • エネルギー不足
    (疲れやすさ、体の抵抗力の低下)
食物繊維
1日に
摂りたい量
60~64歳 21g以上
理想:24g
65~69歳 20g以上
理想:24g
平均摂取量 20.6g
1日に摂りたい量を
食べ物で例えると?

キャベツ(1玉:1000g前後)
約1玉分
1日に摂りたい量(20~21g)より算出

キャベツ
不足した場合の
リスクの例
  • 便秘になりやすくなる
  • 生活習慣病のリスクが高まる
ビタミンA
1日に
摂りたい量
60~64歳 900㎍RAE
RAEとはレチノール活性当量のこと
上限2700㎍RAEまで
65~69歳 850㎍RAE
RAEとはレチノール活性当量のこと
上限2700㎍RAEまで
平均摂取量 596㎍RAE
1日に摂りたい量を
食べ物で例えると?

にんじん(1本:150g)
約1本分

にんじん
不足した場合の
リスクの例
  • 暗いところで目が見えづらく感じる
ビタミンD
1日に摂りたい量 8.5㎍
上限100㎍まで
平均摂取量 7.9㎍
1日に摂りたい量を
食べ物で例えると?

まいたけ(1パック:100g)
約2パック分

まいたけ
不足した場合の
リスクの例
  • 骨が弱くなりやすい
カルシウム
1日に摂りたい量 750mg
上限2600mgまで
平均摂取量 533mg
1日に摂りたい量を
食べ物で例えると?

ヨーグルト(1個:100g)
約6個分

ヨーグルト
不足した場合の
リスクの例
  • 骨や歯が弱くなりやすい
  • 骨粗鬆症
1日に摂りたい量 7.5mg
上限50mgまで
平均摂取量 8.8mg
1日に摂りたい量を
食べ物で例えると?

豚レバー(1切れ:15g)
約4切れ分

豚レバー
不足した場合の
リスクの例
  • 貧血になりやすい
    (集中力の低下、疲れやすさ、動悸、息切れ、頭痛 など)

(出典)厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
(出典)厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告」
(出典)文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

【60代男性が1日に必要とするエネルギー量】

身体活動レベル:ふつうの人の場合
推定
エネルギー
必要量
60~64歳 2600kcal
65~69歳 2400kcal
平均摂取量 2177kcal
必要量がどのくらいか
食べ物で例えると?

ご飯(1杯:150g)
約11杯分

ご飯
不足した場合の
リスクの例
  • 貧血になりやすい
  • 体重減少

【女性版】60代が意識して摂りたい1日の栄養素の例&エネルギー量

60代女性が「しっかり必要な栄養素を摂れているか?」を、下記のグラフや表にまとめました。

【図:「主要な栄養素」の「1日に摂りたい量」に対する60代女性の「達成率※」】

達成率は、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より60代女性の平均摂取量を基に算出 

図:「主要な栄養素」の「1日に摂りたい量」に対する60代女性の「達成率」

上記グラフを見ると、ビタミンA、Dやカルシウムが不足していることが分かります。

【60代女性が1日に摂りたい栄養素の例 一覧】

「1日に摂りたい量」とは、日本人の食事摂取基準(2020年版)で「推奨量」「目標量」「目安量」として提示されている数値です。

たんぱく質
1日に摂りたい量 50g
平均摂取量 70.2g
1日に摂りたい量を
食べ物で例えると?

鶏むね肉 (1枚:190g)
約1.2枚分

鶏むね肉
不足した場合の
リスクの例
  • 体力の低下
  • 筋肉量および筋力が低下する可能性がある
  • 免疫機能の低下
脂質
1日に
摂りたい量
60~64歳 約43.3g
目標量の下限値20%で算出
65~69歳 約41.1g
目標量の下限値20%で算出
平均摂取量 58.3g
1日に摂りたい量を
食べ物で例えると?

豚ロース(1枚:150g)
約1.5枚分

豚ロース
不足した場合の
リスクの例
  • エネルギー不足
    (疲れやすさ、体の抵抗力の低下)
食物繊維
1日に
摂りたい量
60~64歳 18g以上
理想:24g
65~69歳 17g以上
理想:24g
平均摂取量 19.8g
1日に摂りたい量を
食べ物で例えると?

キャベツ(1玉:1000g前後)
小さめ約1玉分
1日に摂りたい量(17~18gより算出)

キャベツ
不足した場合の
リスクの例
  • 便秘になりやすくなる
  • 生活習慣病のリスクが高まる
ビタミンA
1日に摂りたい量 700㎍RAE
RAEとはレチノール活性当量のこと
上限2700㎍RAEまで
平均摂取量 604㎍RAE
1日に摂りたい量を
食べ物で例えると?

にんじん(1本:150g)
約2/3本分

にんじん
不足した場合の
リスクの例
  • 暗いところで目が見えづらく感じる
ビタミンD
1日に摂りたい量 8.5㎍
上限100㎍まで
平均摂取量 7.1㎍
1日に摂りたい量を
食べ物で例えると?

まいたけ(1パック:100g)
約2パック分

まいたけ
不足した場合の
リスクの例
  • 骨が弱くなりやすい
カルシウム
1日に摂りたい量 650mg
上限2600mgまで
平均摂取量 539mg
1日に摂りたい量を
食べ物で例えると?

ヨーグルト(1個:100g)
約5個分

ヨーグルト
不足した場合の
リスクの例
  • 骨や歯が弱くなりやすい
  • 骨粗鬆症
1日に
摂りたい量
60~64歳 6.5mg
上限40mgまで
65~69歳 6.0mg
上限40mgまで
平均摂取量 8.4mg
1日に摂りたい量を
食べ物で例えると?

豚レバー(1切れ:15g)
約3切れ分

豚レバー
不足した場合の
リスクの例
  • 貧血になりやすい
    (集中力の低下、疲れやすさ、動悸、息切れ、頭痛 など)

(出典)厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
(出典)厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告」
(出典)文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

【60代女性が1日に必要とするエネルギー量】

身体活動レベル:ふつうの人の場合
推定
エネルギー
必要量
60~64歳 1950kcal
65~69歳 1850kcal
平均摂取量 1784kcal
必要量がどのくらいか
食べ物で例えると?

ご飯(1杯:150g)
約8杯分

ご飯
不足した場合の
リスクの例
  • 貧血になりやすい
  • 体重減少

(出典)厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
(出典)厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告」
(出典)文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

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ずばり!60代が特に気にしたい栄養素は「カルシウム」

【60代 カルシウムの摂りたい量と平均摂取量】
1日の推奨量 平均摂取量
男性 750mg 533mg
男性 650mg 539mg

(出典)厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
(出典)厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告」

60代が、特に気にしたい栄養素は「カルシウム」です。

骨折の原因には多くの要素が関わっているとされていますが、その1つとして食事が骨の健康に影響を与えているとよく知られています。

特にカルシウムやビタミンDは成人にとって、骨の健康維持に必要な栄養素だと言われています。

また、カルシウムは体の機能の維持や調節に欠かせないミネラルの1つで、歯や骨の元となるだけでなく、筋肉の収縮や血液の凝固を促して出血を予防する働きがあります。

そんなカルシウムは、摂取した量のすべてが体に吸収されるわけではありません。
年齢や食品によっても吸収率が変わってくるため、効率よく摂取する方法を検討するとよいでしょう。

(参考)農林水産省「みんなの食育」
(参考)厚生労働省「カルシウム」
(参考)厚生労働省「骨粗鬆症の予防のための食生活」

2.【栄養素別】効率よく、栄養を摂る方法 

年齢を重ねると、栄養を十分に摂取・吸収できない方がいらっしゃいます。

その原因として、以下のようなことが考えられます。

【60代で栄養が十分摂取・吸収できない原因 例】

  • 食事量の減少
  • 運動不足による食欲の減退
  • 加齢による消化・吸収機能の低下 など

上記のことを踏まえて、「1.60代が摂りたい栄養素一覧」の表で、平均摂取量が1日に摂りたい量よりも低かった

  • カルシウム
  • 食物繊維
  • ビタミンA
  • ビタミンD

に関して「効率よく栄養を摂るためのおすすめ方法」について簡単にまとめました。

60代がカルシウムを効率よく摂る方法

【カルシウムを効率よく摂る方法】

  • カルシウムを豊富に含んでおり、吸収率が高い食品を選ぶ(主に乳製品)
  • カルシウムと、ビタミンDやビタミンKを同時に摂取する

1.カルシウムを豊富に含んでおり、吸収率が高い食品を選ぶ(主に乳製品)

カルシウムを豊富に含んでおり、吸収率が高い食品例は、以下です。

【カルシウムが豊富で吸収率も高い食品 例】

  • ヨーグルト(100gあたりのカルシウム量120mg)
  • 牛乳(100gあたりのカルシウム量110mg)

(出典)文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

カルシウムは摂取しても吸収されにくい栄養素であり、食品によって吸収率が異なります。

ヨーグルトや牛乳などの乳製品はカルシウムが豊富に含まれているだけでなく、吸収率も高い食品なので効率的に摂取したい人におすすめです。

2.ビタミンDやビタミンKを摂取する

カルシウムを効率よく摂るために、「ビタミンD」や「ビタミンK」と併せて摂ることがおすすめです。

ビタミンDは、きのこや魚に多く含まれており、カルシウムの吸収をサポートしてくれます。

一方、ビタミンKは吸収されたカルシウムを骨に定着させる成分で、納豆や小松菜に多く含まれています。

カルシウムなどを始めとして、ヨーグルトに含まれている栄養について、知りたい方は以下の記事をご覧ください。

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60代が食物繊維を効率よく摂る方法

【食物繊維を効率よく摂る方法】

  • 食物繊維が多く含まれ、少ない量で食物繊維が摂れる食品を選んでみる
  • 食事量が少なめの方は「食物繊維が配合された」食品で補う

1.食物繊維が多く含まれ、少ない量で食物繊維が摂れる食品を選んでみる

食物繊維は、果実や野菜・きのこ・豆類などに含まれていますが、ものによっては、たくさん量を食べるのが難しいという方もいるかもしれません。
そうした方は、食べる量が少なくても「たくさんの食物繊維を含んでいる」食品を選べば、効率的に摂取しやすくなります。

例えば、果実の中には「生」で食べるよりも「ドライフルーツ」になっていた方が効率的に食物繊維を摂れるものがあります。

【生のフルーツとドライフルーツの食物繊維量 例】

  • 生のバナナ(100gあたり1.1g)→
    ドライバナナ(100gあたり7.0g)
  • 生のプルーン(100gあたり1.9g)→
    ドライプルーン(100gあたり7.1g)

(出典)文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

また、野菜であれば、加熱すればかさを減らすことができるので、おすすめです。

2.食事量が少なめの方は「食物繊維が配合された」食品で補う

食事量が少ない方は、食物繊維が不足しがちです。

食事量があまり摂れない、小食の方は、例えば食物繊維が配合されている「野菜ジュース」を飲むなどを検討するのもよいでしょう。
ただし、多量に摂りすぎるとミネラルなどの吸収を妨げることもあるため、注意が必要です。

(参考)厚生労働省「食物繊維の必要性と健康」
(参考)厚生労働省「野菜、食べていますか?」
(参考)厚生労働省「食物繊維」

60代がビタミンAを効率よく摂る方法

【ビタミンAを効率よく摂る方法】

  • 緑黄色野菜は油と一緒に調理をする(炒め物など)

緑黄色野菜は油と一緒に調理をする(炒め物など)

緑黄色野菜には、ビタミンAそのものが入っているのではなく、体内でビタミンAに変換される「β-カロテン」という成分がたくさん含まれています。

そんな「β-カロテン」は脂溶性(油に溶けやすく、水に溶けにくい性質)なので、炒め物にして油と一緒に調理をすると吸収率を高めることができます。
もし油をあまり使いたくない場合は、脂質が多い食品(卵など)と併せて食べるとよいでしょう。

【β-カロテン(ビタミンA)がたくさん含まれている緑黄色野菜 例】

  • にんじん 皮つき 生(100gあたり720㎍)
  • ほうれんそう 葉 生(100gあたり350㎍)

(出典)文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

注意点として、ビタミンAは体内にたまりやすいため摂取の上限が定められており、過剰な摂取は避けた方がよいと言われています。
レバーやうなぎなど、ビタミンAを多く含む動物性食品は摂りすぎにならないよう注意しましょう。

緑黄食野菜であれば、β-カロテンが体内で必要な分だけビタミンAに変わるため問題ありません。

(参考)厚生労働省「緑黄色野菜」

60代がビタミンDを効率よく摂る方法

【ビタミンDを効率よく摂る方法】

  • 油と一緒に調理をする
  • きのこ類は日光に当ててから調理する

1.油と一緒に調理をする

ビタミンDは脂溶性のため、油と一緒に摂れば吸収率が高まると言われています。

油を使って、揚げたり炒めたりすることでより効率よくビタミンDを摂取できるでしょう。

2.きのこ類は日光に当ててから調理する

ビタミンDはしらすやサケといった魚介や、きのこ類にたくさん含まれています。

特に、しいたけなどのきのこ類は、紫外線に当てることでビタミンDを増やすことができるため、調理する前に2~3時間日光に当てることをおすすめします。

またご自身で日光に当てずとも、スーパーなどで天日干しされた商品を購入することができます。
そちらを活用するというのもよいでしょう。

ビタミンAと同じくビタミンDも摂りすぎれば体内に蓄積されてしまうため、過剰にならないよう注意が必要です。
サプリメントなどで大量に摂取することは控えましょう。

他の年代が摂りたい栄養素一覧については、以下の記事をご覧ください。

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